尾崎正覚
瓦礫十五(2017年)枯葦に雀鈴なり三日の暮れ
寒の朝鳴き声の方モズ尾を振り
寒風に老犬連れて老散歩
群れ飛べる
白鷺 の一羽が群れ離る寒の川澱みに真鯉動かずに
鍼終えて海を見ばやと春立つ日
鶯の稽古鳴きする金目垣
鶺鴒 の水浴び道の溜り水襟巻し中空見れば初つばめ
病院の窓辺で患者花愛でて
乳飲み子に母花を見せ語りかく
花散らし古巣につばめ帰来して
春嵐つばめの尾羽巣より見え
警備員頭上に蜂のホバリング
灯恋 虫朝微塵たり片隅に耕され水待つ畝に草生えて
二羽の
鳧 田の外れまでカラス追う鵜も鷺も儘ならず飛ぶ青嵐
側溝に茂るあざみの薙倒され
日を置かず植田を覆うアオミドロ
梅雨雲の
山脈 の尾根添ひ走る梅雨降る人居ぬ路傍刃物研ぎ
黄金虫エレベーターに共に入り
熱風やすずめ金網飛び抜けて
老い独り終日警備猛暑日に
炎天に電柱の影老い
休憩 う猛暑朝交尾のとんぼ宙返り
吾
自転車 で倒 けて動けず法師蝉草の丈稲穂を超えて田に茂る
秋暑し
跛 行の老いに老犬 寄り添ふ秋雨に頭を背に埋めて鵜が眠る
曼殊沙華カボチャ畑の葉の隙に
稲雀
宙 へ飛び散り葦 に集う