尾崎正覚
瓦礫二(2004年)藪椿人吾知らず吾も亦
水仙を採りたる袖に草虱
雪舞える
玉葱 小屋の藁群れ雀吹雪くなか雀
一時 軒下に霊園に花売り独り吹雪くなか
池中の鷺身じろがず吹雪くなか
吹雪くなか餌撒く人に
野良猫 寄りて砂浴びの
野良猫 立春の光浴び里山の雪降る車道狸の
屍 枯れ草に紛れ白梅咲きてあり
嵐なか溝にはこべの花誇る
満開の梅枝に蜂の土巣あり
大空に雲雀の行方見失い
老い並び黙して春の海眺め
雨に濡れ路肩の隙に菫咲く
屍の小雀道に春
晩 く新緑の
古寺 大門に猫眠り(白豪寺にて)倒木に生ゆる若木の若葉映ゆ
公園に変わりても紫蘇群生す
卵 も見ゆ巣の縁 鳰は補強せるタンポポの穂綿舗装路転々と
炎風に交尾のトンボ流されて
野良猫 戯れる台風 刻々強まるに羽一つ残し鳥翔つ秋の暮れ
秋日和
野良猫 等棲息処 に姿なし