尾崎正覚
瓦礫三(2005年) 老い並び真冬の海辺日向ぼこ 塊(かたま)りて野良猫(ねこ)立春の野に眠る 梅を観に廃屋に入り猫に遇う 春光に輝く水面鳰鳴けり 初雲雀満開の花眺め居て 花びらを幼児帽子に拾い容れ 鴨去りて牛蛙鳴く大池に 鷺と亀真近におりて身じろがず 群れの鴨去れど番の鴨残る 蓮池の花を背に鷺佇立せり 炎天を痩せ衰えし野良猫(ねこ)歩む 蝉時雨時に地に落つ蝉もおり 電柱に葛這い上り夏終わる 秋の暮れ廃車に住む人火を熾(おこ)す 寒風に植え込みのなか群れ雀 餌を銜え鶺鴒小走り大晦日
老い並び真冬の海辺日向ぼこ
塊(かたま)りて野良猫(ねこ)立春の野に眠る
梅を観に廃屋に入り猫に遇う
春光に輝く水面鳰鳴けり
初雲雀満開の花眺め居て
花びらを幼児帽子に拾い容れ
鴨去りて牛蛙鳴く大池に
鷺と亀真近におりて身じろがず
群れの鴨去れど番の鴨残る
蓮池の花を背に鷺佇立せり
炎天を痩せ衰えし野良猫(ねこ)歩む
蝉時雨時に地に落つ蝉もおり
電柱に葛這い上り夏終わる
秋の暮れ廃車に住む人火を熾(おこ)す
寒風に植え込みのなか群れ雀
餌を銜え鶺鴒小走り大晦日
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