尾崎正覚
瓦礫五(2007年) 猫狙う小鳥(とり)飛翔(たち)カラス鳴き騒ぐ 寒の畑猫忍び足椋鳥(むく)狙う 満開の梅の木に鵙声高く 暖かき夜具に眠りて悪夢良し 微睡(まどろむ)間妻土筆芹摘み帰り 田の畦に老婆(ばば)ら八朔剥き憩う 早春の大樹の下に狸の屍(し) 鶯の声遠くなり山下る 夏草の繁茂のなかに枯れも見ゆ 瓶裡(びん)に活く露草の葉の小さくなり 黙々と看板見せて防寒頭巾(フード)の老い 紅葉せず落ち葉もせずに枯残る 小春日に池の真中を亀泳ぐ 歳晩の坐禅の静寂(しじま)咳き破る
猫狙う小鳥(とり)飛翔(たち)カラス鳴き騒ぐ
寒の畑猫忍び足椋鳥(むく)狙う
満開の梅の木に鵙声高く
暖かき夜具に眠りて悪夢良し
微睡(まどろむ)間妻土筆芹摘み帰り
田の畦に老婆(ばば)ら八朔剥き憩う
早春の大樹の下に狸の屍(し)
鶯の声遠くなり山下る
夏草の繁茂のなかに枯れも見ゆ
瓶裡(びん)に活く露草の葉の小さくなり
黙々と看板見せて防寒頭巾(フード)の老い
紅葉せず落ち葉もせずに枯残る
小春日に池の真中を亀泳ぐ
歳晩の坐禅の静寂(しじま)咳き破る
法(尽十方界真実)句集 『牆壁瓦礫』 トップ
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