尾崎正覚
瓦礫七(2009年) 寒天にカラスが鳶に挑みおり 笹鳴きすショベルカー入る枯れ原に 恁麼(なに)変わる椿落花の前と後 辛夷咲く街路の天に揚げ雲雀 子雀らたんぽぽの路飛び跳ねて 花見つつ囀る方に初つばめ 人影の見えぬ飯場に地虫鳴く テントウムシ高層階の露草に 老夫婦蛍火見んと顔を寄せ 空中に燕雀競い虫を追う 七日経ず夏草生ゆる造成地 水田への流れ彩る蛇苺 曼珠沙華傍に鴉の首傾げ 繁茂する葛に抽んづ曼珠沙華 木枯らしに竹薮軋む音響く 亡き父に見紛う老いや秋の暮れ
寒天にカラスが鳶に挑みおり
笹鳴きすショベルカー入る枯れ原に
恁麼(なに)変わる椿落花の前と後
辛夷咲く街路の天に揚げ雲雀
子雀らたんぽぽの路飛び跳ねて
花見つつ囀る方に初つばめ
人影の見えぬ飯場に地虫鳴く
テントウムシ高層階の露草に
老夫婦蛍火見んと顔を寄せ
空中に燕雀競い虫を追う
七日経ず夏草生ゆる造成地
水田への流れ彩る蛇苺
曼珠沙華傍に鴉の首傾げ
繁茂する葛に抽んづ曼珠沙華
木枯らしに竹薮軋む音響く
亡き父に見紛う老いや秋の暮れ
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