尾崎正覚
瓦礫十二(2014年)帰途迷う初夢覚めて古希の吾
俄か雪降るに鶺鴒羽繕い
雪のなか眠る
赤子 預く保育園黄砂降る巣材銜えて鴉飛ぶ
寒戻る
椋鳥 停る枝争へり燕飛び初音も聞こゆ花の道
竹藪の今年荒れ果て青嵐
古
邸宅 覆う大樹の楠若葉葛の蔓伸びて虚空に揺れ動く
梅雨降る
野良猫 東屋で居眠りす水を待つ田に雀らが土を浴び
余り苗数多の畔に放置され
水張りし田の畔児等は屈み込む
梅雨晴れ間水田の天に雲雀鳴く
牛蛙圧し潰されて梅雨晴れ間
餌貰う子雀庁舎公庭に
待合の患者ら寡黙
院外 台風 腰痛に歩を止め見付く露草を
水浴びの園児に紛れ揚羽飛ぶ
鵜鷺亀池辺に並び梅雨明けず
木隠れず鴉ら喘ぐ炎天に
青田水残り僅かを鳩ら飲む
猛暑日に雀水浴び噴水で
炎天を子燕数羽飛交えり
炎熱の風に青柿赤味帯び
炎天の芋の葉下に雀見ゆ
蝉声 が俄に聞こえ台風 去る炎昼にとんぼ遮断機越行けり
夜風なお熱風なれど虫の声
命継ぐ食煩わし秋暑く
圧潰 されし亀干乾びて秋暑し老夫婦十五夜と知り窓辺寄る
稲刈り機老農日除け傘立てて
荷持替え汗拭きをれば鵙の声
大群の小鳥
北風 受け空を行く餌狙い鴉争う師走の空