尾崎正覚
瓦礫十三(2015年)寒天を鳶羽ばたかず飛去れり
寒風に留まる雀去る雀
作業員寒の路傍に弁当食ぶ
猫パンチ鴉飛退く寒の道
鳩他へ寄り他は飛翔てり春昼に
空で
鳧 カラス退け田に戻る (鳧 チドリ科)満開の花を外れて百舌鳥一羽
満開の花を離れて田に初蝶
鳩の群舞降り
鳧 の鳴き騒ぐ万緑に牛蛙鳴く鳰の池
鳧 居らぬ田の青空に初雲雀往来で
椋鳥 蛾を捕ふ梅雨晴れ間燕の巣下に屍の干乾びて
向かい風トンボが並ぶ我が
自転車 に峰雲の空に白鷺低く飛ぶ
熱風の坂上る老い腰曲がる
妻幾度入院支度法師蝉
草原化した田の隣稲稔る
百舌鳥猛る畑に赤き唐辛子
秋暑し猫植込みに隠れ居り
秋雨に吾
自転車 で倒 け猫が見る草原となりし田囲む曼珠沙華
足下に落葉に混じる蛾舞落つ
落葉
路 野良猫 飼い犬と対峙せりカラスらが鳶追い回す師走の空